2014/07/19

7月8日の当ブログで触れた黒川博行の最新作で、今回の直木賞候補にあがっていた「破門」。受賞しましたね、6度目の候補だったそうです。彼の小説の長年のファンとしては、手を打って一緒に喜びたい気持ちで一杯です。それにしても読み終えた本が、その翌日に権威ある賞を授かるとは…嬉しい驚きでした。
受賞作「破門」は疫病神シリーズの5作目で僕は今作も含めて全作読了済み。シリーズの中では「国境」が最高に面白く興奮しました。
喧嘩がべらぼうに強く、イケイケでありながら実は計算高く緻密なところのあるダンディーヤクザの桑原と、土木や解体のさばきを生業にしている、一見弱っちく見えるがちゃっかり者の建設コンサルタント、二宮のコンビ。
2人の活き活きとした大阪弁での会話のやりとりは、時に切迫した緊張感を生むかと思えば、また時には黒川流ユーモアで読者の緊張をほぐし思わずニンマリとさせてくれます。
かなりの長編小説なのに、スピーディーな展開と会話文のテンポの良さで、それこそあっという間に読み終わってしまいます。シリーズおなじみの脇役たち(悪徳刑事の中川、若頭小嶋や医者の内藤など)のキャラクターも健在で、小説を彩り豊かなものにしています。
僕と同学年65才。待ち望んだ直木賞受賞でしょう。数多い彼の旧作も「再発見」され増刷されて、今日から書店の棚に並べられているはず(祝、直木賞受賞!の帯を巻かれて)。ご同慶の至りです。

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